運送業許可の難易度を計るため他の許認可と比較しました
一般貨物自動車運送事業の許可は難しい許認可手続きです。どれくらい難しいかを建設業許可など他の営業許認可と比較することで分かりやすくなると思い漫画を使って検証してみました。
お問い合わせはこちら

マンガ、運送業許可の難易度について

マンガ、運送業許可の難易度について


この記事は一般貨物自動車運送事業の許可の難易度について解説します。
運送業の許可は他の許認可と比べると準備が大変な部類に入ります。
行政書士によってはウルトラCの難易度という人も居られます。
(ポジショントークも多少含まれていると思いますが)



そこで今回は運送業許可の難易度を調べるために、他の許認可と比較する方法を取ってみました。
比較するのは建設業許可になります。
運送業許可の話だけより比較することで、どの部分が大変でどの部分がそうでないかがハッキリと見えて参ります。


建設業許可を選んだ理由ですが、
建設業許可も難易度の高い許認可であることです。
建設業許可も運送業と同様に人モノ金の要件が厳格です。


建設業許可は人要件が重く、運送業許可は物と金の要件にウェートが置かれている違いがありますが。
比較検討するには打ってつけの許認可になります。


また弊所が運送業許可の他に建設業許可のお手伝いもさせて頂いている点もあります。
両方の許認可の代行で見えてくる世界もございます。
あとこんな比較方法をする人が居ない事でしょうか。
この記事にどれだけニーズがあるか分かりませんが、行政書士の自己満足記事だと思って頂ければ幸いです。


弊所行政書士の感想

個人的な思いになりますが。
ミニマムな体制で許可を取る場合、要件的には運送業許可の方がシンドイ部分がございます。
ただ建設業許可でも特定建設業許可、複数営業所、難易度の高い許可業種、公共工事(経営事項審査)等が加わると…
一気に難易度がはね上げります。


これは運送業許可でも同じことが言えます。
自動車の台数が何十台、営業所複数、統括運行管理者が必要などになると、難易度が上がりますね。


あとは依頼者さまの状況でも難易度は上下します。
許可要件より、顧客間での難易度の差が大きいです。
許認可はフォーマット書類と任意書類に要件を落とし込む形になります。
同じ手続きでも同じ状況は一社もございません。
行政書士に相談が来るケースですと、何らかの問題点がございます。
ごちゃごちゃに絡んだ問題を丁寧に解きほぐし、要件を満たしていることを役所に証明できる形に落とし込むのが行政書士の仕事です。


運送業許可と建設業許可の比較について

運送業許可と建設業許可の比較について


ここから実際に運送業許可と建設業許可の比較を行います。
許可の要件を分解して解説して参ります。


  • 人要件
  • 物(施設・設備)要件
  • 資金要件
  • その他


上記の順番で解説いたします。


運送業許可と建設業許可の人要件

まずは人の要件から始めて参ります。


最初に運送業許可の人を一覧表をご紹介します。


運送業許可の人 要件
役員・個人事業主

法令試験合格
欠格要件

運行管理者

有資格者
欠格要件

整備管理者

有資格者
欠格要件

運転手

有資格者
人数


運送業許可は上記4つの役職で構成されております。
申請者(役員や個人事業主)は法令試験に合格が求められます。
運送業に関連する試験で合格率は運輸局や年度ごとにバラつきが大きいです。


関連記事:運送業許可の法令試験の合格率


次に運行管理者について。
彼らは会社の運行管理を通じて輸送の安全と運転手の過労運転や事故を防ぐ仕事になります。
運行管理者試験の合格者か5年以上の実務経験者が対象者です。


関連記事:運行管理者について


次に整備管理者です。
彼らは事業用自動車(トラック等)の整備と車庫の管理を担当します。
自動車整備士か2年以上の実務経験者が要件となります。
運送業許可の人要件で証明が一番難しい人です。


関連記事:運送業許可の整備管理者について


次に運転手になります。
一般貨物自動車運送事業の許可の場合、5人以上の在籍が必要になります。
また中型から大型自動車の免許が無いと仕事が難しい部分がございます。
人材不足のご時世で5人からのドライバーさんを集めるのは容易ではございません。


次は欠格要件について
役員や個人事業主は法律上に明確な欠格要件がございます。
運行管理者、整備管理者、運転手については許可制度上の欠格要件はありませんが、
資格証の返納から再取得まで5年かかるなど実質的な欠格要件が存在します。


関連記事:運送業許可の欠格要件について


建設業許可の人要件

次は建設業許可の人要件について


建設業の役職 要件
役員・個人事業主 欠格要件、常勤性

常勤役員等
(経営業務の管理責任者)

建設業の経営経験
常勤性
欠格要件

営業所技術者等
(専任技術者)

許可業種の実務経験
常勤性


次は建設業許可の人要件です。
役員は試験合格は不要ですが、欠格要件が存在します。
欠格要件の範囲が建設業法と貨物自動車運送事業法で若干異なります。


関連記事:運送業許可の欠格要件


建設業許可では破産者や反社も条文に組み込まれております。
役員の範囲は運送業の方が広いですね。


次は常勤役員等(経管)ですね。
運送業で近いのは運行管理者ですかね。
要件的は運送業よりもハードルが高いです。
建設業の経営経験の証明が必要です。
証明書1枚ではなく、年数分の注文書や確定申告書などが必要。


関連記事:建設業許可の常勤役員等のなり方


次は営業所等技術者(専技)について
これは運送業の整備管理者に相当するポジションです。
こちらも圧倒的に専任技術者の方が大変です。
特に10年の実務経験証明で苦労します。
(特に建築、土木一式、機械器具設置工などは)


関連記事:営業所等技術者(専技)について


人単体だと建設業許可の方が大変

許認可の人要件ですが。
技術者や管理者単体を見ると、建設業許可の方が難しい印象です。
過去の経営や実務経験の証明が段違いに手間が掛かります。


運送業の場合は資格者を人数揃えるのが大変です。
(建設業も人手不足が深刻ですが…)
特に今の様に人手不足と呼ばれる時代だと運行管理者、整備管理者、運転手で5人から7人を集めるのは至難の業な部分があります。


トータルで見ると、建設業許可と運送業許可の人要件は同等の難易度と言えるでしょう。


運送業許可と建設業許可の施設要件

次は運送業と建設業許可の施設要件です。
こちらに関しては運送業許可の方が大変です。
(あくまで許可取得の観点で、規模感が変わると事情が異なります)


運送業許可の施設・設備 要件
営業所

什器
用途地域

休憩・睡眠施設

設備
面積
用途地域

車庫

面積
立地制限
出口の道路

車両

5台以上
規格


運送業許可の場合、設備と施設は上記4つ必要です。
建設業許可の場合は、施設に関しては営業所(事務所)要件が求められます。
営業所についても運送業の場合、都市計画法に抵触しないことが求められます。
要は用途地域の問題ですね。


対する建設業許可の場合、用途地域については許可要件に書かれておりません。
(都市計画法上は事務所NGの場所もありますが)
極端な話、自宅兼事務所も普通にあります。
(個人事業主や規模が小さい業者は自宅兼が多いです)
運送業の場合、自宅兼営業所は意外とハードルが高くなります。


その他にも休憩施設や車庫の問題もあります。
これらにも立地条件や面積、車庫に関しては前面道路の広さの証明も必要です。
施設要件に関しては運送業許可の方が重いです。
特に用途地域や市街化調整区域、農地など立地条件に関しては慎重な調査が必要になることが多いです。


建設業許可で運送業より大変になるケースもございます。
営業所が複数個所ある場合です。
この場合、営業所ごとに営業所等技術者(専技)の配置が求められます。
専任技術者の要件を満たす人が居ないために単一営業所の業者さんが多いです。


運送業許可と建設業許可のお金の要件

次は資金要件について考えたいと思います。
取りあえずミニマムな形で比較すると、運送業許可の方が圧倒的に大変です。


一般建設業許可の場合、500万円の自己資本か預金残高証明書で対応可能です。
一般貨物自動車運送事業の許可の場合は、人件費、施設の家賃、車の購入費と維持費などの約半年から1年分の見積もりを提出します。
会社の状況で金額は大きく膨らみます。
自動車を新車で購入、リース契約で調達、すでに自社保有だと一千万単位で数字が変わってきます。
また営業所、休憩施設、車庫に関しても同様です。
自社保有、購入、賃借で金額が大きく変わります。


この様に施設や設備、人の要件の重さから、運送業許可は個人で取られる方は少ないです。
新規許可の概ね95%は株式会社などの法人となっております。


関連記事:運送業許可は法人の申請者が多い


運送業を取り扱う行政書士として、必要な金額をどの様に抑えるのかも腕の見せ所です。
あと運送業は残高証明書を2回提出させます。
2回目で必要水準を切っていると問答無用で落とされます。
(見せ金対策ですかね)


これも特定建設業許可になると話は変わります。
自己資本4000万円、資本金2000万円、欠損比率2割以下、流動比率7割以上…
財産要件が一気に跳ね上がります。


その他、許可取得後など

最後は許可取得後について。
純粋に手続きだけを見ると、運送業許可の方が大変です。
運送業許可取得後もすぐに運送の仕事ができません。
運行整備管理者選任届、運輸開始前確認報告、連絡書の発行、車検証の書き換えと緑ナンバーの発行取付、運輸開始届、運賃料金設定届などなど。
許可取得後に5つもの届出や作業が必要です。


建設業許可に関しては、許可証が出れば500万円以上の工事受注できます。
建築免許に関しては、最初の申請でオールインワンになっている部分があります。
(電気工事業など届出が必要な許可業種もあります)
運送業は許可申請の段階で、運行管理者、整備管理者など人要件を満たさなくても申請可能です。


許可取得後に決算届や報告書を出すのは、どちらも同じです。
業種や車の追加などする時に役所に審査が必要なのも同様。


運送業許可の場合、トラック協会から定期的に巡回指導が入ります。
許可取得後の3か月目、2年~3年に1回。
巡回指導で評価が低いと運輸局の監査が入ることも。


建設業許可の場合、抜き打ち検査はあると聞きますが…
(抜き打ちの方が怖い気がしますが)
定期的な巡回指導はありません。


運送業許可の難易度を調べるために建設業許可と比較する形で見て参りました。
ミニマムな体制ですと、運送業許可の方がハードルが高い印象があります。
人要件については建設業許可が難しい気がします。


以上が運送業許可の難易度についてでした。
ここまでお読みいただきありがとうございました。

個別無料相談受付中


この記事を書いた人


行政書士やまだ事務所 所長

行政書士 山田 和宏


日本行政書士会連合会 13262553号

大阪府行政書士会 6665号

大阪府行政書士会 法人研究会フェロー

申請取次行政書士(大阪出入国在留管理局長承認)


【適格請求書発行事業者】

インボイス登録済

番号:T1810496599865


【専門分野】

運送業許可、産業廃棄物収集運搬業、建設業許可など許認可手続き。

年間相談件数は500件を超える。


詳しいプロフィールはこちら


【表彰】